年金生活者の父への借金

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転職後、私の年収は半減した。それでも、始めはそれまでの蓄えや、株の売却で減収分を補っていた。しかし、3年目に入って気づいたのだ。私自身が、収入に見合った生活をしていないことに。そして、前職の退職金は外貨で定期預金にしていたので、おいそれと解約できない。すべての預貯金通帳を取り出し確認して唖然とした。中国株の売買で利益を得て投資に抵抗がなかった私は、ＦＸに手を出し、結局預貯金を使い果たしたのだ。住宅ローンも残っているというのに。給与振り込み口座にセットしたカードローンで少額の赤字はしのぎ、先送りできた。しかし、それも積み重なると利息の高さにため息が出る。
そこで、７０歳の父に２０万円貸してくれるよう電話で頼んだ。父は理由を問わなかった。翌日、振り込まれた20万円を私はカードローンの返済に充てた。父は地方公務員を定年退職後、母と二人で年金生活を送っている。電話で感謝したところ、父はただ、私が何かトラブルに巻き込まれているのではないかと心配してくれた。大丈夫だからと電話を切り、何ともやりきれない気持ちになったのは言うまでもない。